夢の中しか知らない
昨日、大学の頃の友人と飲んでいたら、その夜、当時の恋人の夢を見た。
大学に入った春から卒業した翌年の春までの5年間、私は2年先輩だったその人と一緒に過ごして、その後は知らない。
彼はずるずると留年を繰り返していた大学を、私の卒業に合わせて辞めて、新しい夢を叶えるために遠くに行ってしまった。
私の隣には当たり前のように彼がいたから、私は驚き、遠くまで会いに行く資金を稼ぐために慌てて適当な会社に就職した。
彼はもっと早く動き出すべきだったし、私はもっとしっかり自分の将来を考えるべきだったのに、2人ともお互いの存在に現実逃避していた。
音楽と映画と本と旅と。
刹那的で享楽的な、三流ロードムービーのようなあの日々は、結果的に私たちに良い影響を与えなかった。私たちは人生を再構築するのに苦労した。少なくとも私は。
なのに、だからこそ、今も多分に感傷的な想いを抱かせる。
別れて10年後、大学のある街で偶然、その人と再会した。
クリスマスだった。
こちらに戻ってきていることも知らなかったし、見た限りでは夢の実現はまだできていなさそうだった。
挨拶程度で彼はバツが悪そうにそそくさと離れていき、我に返った私が連絡先だけでも聞きたいと追いかけた時には、もう彼の姿はどこにも見つけられなかった。
その頃からその人の夢を見るようになった。
面白いのは、その夢がシリーズもののように続いていることで、前の夢の内容を受けて新しい展開になっていく。
昨夜の夢は、2年前に見た夢の続きだった。
現実の彼のことは何も知らないし、知るつもりもない。
私たちの人生は交わらない。
そして、また2、3年後に私は夢の中でその人と再会するだろう。
日曜日に、味園でSundayカミデが弾き語ったこの曲は、とてもよかったな。