41歳独身女のドン底日記改め、40代わたしの幸せな日常(今日のところは)

彼氏なし友達なし定職なし、でも幸せになりたかったので婚カツしてスピード婚しました!

車なし女ひとり旅 長崎五島列島編③

レンタサイクルで不足しがちなのは…、

電動自転車で島内をまわることにした時、心配だったのが体力でした。地形のアップダウンが激しいうえに見学スポットもそれぞれ遠いし…、途中で力尽きたらどうしよう。。。

そして実際にまわってみて実感したのは、体力でもバッテリーでもなく、時間が全然足りない!!

 

電動自転車は思った以上に快適で、上り坂でも平地感覚でスイスイ進みます。照りつける太陽は暑いけど、海からの風が割と涼しいし、下り坂を一気に駆け下りるのも気分爽快。街と違って人がいないから誰かにぶつかる危険もなし。

普段運動しない私でもこれなら全然余裕、と調子に乗って寄り道をしすぎた結果、港から4キロ程度の鯛ノ浦教会を見学し終わった時点でもう1時間半が経っていました。レンタサイクルの期限は3時間。あと半分しかない!

 

サイクリングマップに掲載されている教会は、鯛ノ浦教会のほかに4つほどありましたが、どれも行くだけでゆうに1時間はかかる距離。帰りの時間も考えると、これから行けそうなスポットは教会ではなく、元海寺というお寺でした。

 

元海寺のレア度は相当高い

前回の記事でも書きましたが、元海寺の山門はレンガ造りのアーチ型という全国的にも非常に珍しい設計になっています。

このブログを書くためにちょっと調べてみたところ、日本にあるお寺のうち、木造以外は15%ほどですが、そのほとんどは老朽化によって近年建て替えた際に耐震や防火の面から鉄筋コンクリート造に変更したというもの。わざわざ木材と異材を組み合わせている例は、大分県の松厳禅寺はじめ3つの寺にある石造りの山門(不思議なことに全部大分県に集中しています)と、ここ五島の元海寺のレンガ造りの山門、あとは東京と函館にそれぞれ1寺ずつレンガ造りの門柱や壁があるぐらいしか見当たりませんでした。

石造りの山門は、神社にある石造りの鳥居と似ているのでそこまで「珍しい」感は正直ありません。つまり、元海寺は木や石など本来寺社でよく目にする材質以外で造られた山門を持つ、日本で唯一の寺ということになります。

 まあ、元海寺に向かって自転車こいでいる時はそんなことは知らないので、「へー、何か変わってそう」程度の認識でしたが(^_^;)

 

途中の風景など

鯛ノ浦から元海寺に行くにはトンネルを2つ通ります。

1つ目のトンネル脇にはおあつらえ向きの廃墟が。お昼は明るいからいいけど、夜は絶対怖いと思う…。ちなみにこのトンネルはけっこう長くて300mほどありました。トンネルを自転車で通ったのは初めてでしたが、車とは全然雰囲気が違って新鮮でした。

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道路の横からいきなり海!

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階段降りたらいきなり海!

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みうらじゅんがいうところの”じごく表”発見(笑)。

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中学の学生服とGパン売ってます。

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海沿いにまっすぐ伸びた道をただただ走ります。

味のある古いバス停がいい感じです。途中で地元のおじさんとすれ違った以外は誰とも会いませんでした。

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浄土真宗本願寺派 元海寺に到着

バーーーーン!!

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レンガ造りに瓦屋根ですが、全然違和感がないです。かっちょいい!!

裏側から見るとこんな感じ。鐘つき堂は木造。

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 レンガの山門を造ったのは元海寺の門徒である鉄川与助という明治時代の建築家。そしてこの鉄川さんこそ、五島をはじめ九州各地にカトリック教会を建てた「教会建築の父」と呼ばれる人物です。世界遺産の教会や国の重要文化財に指定されている教会など名建築を数多く残しています。キリシタンとも親交が深かったために何度もキリスト教への改宗を勧められましたが、本人は生涯仏教徒を貫きました。

 

この山門は、元海寺の住職が荒廃のひどさを見かねて、当時すでに大きな教会を次々に建てていた鉄川さんに修復を依頼したもの。

教会の建築は信者が少しずつお金を出し合い長い年月をかけて完成させる場合が少なくなく、鉄川さんは手に入りやすい材料を使ってできる限り低予算で丈夫な美しい建物を造っていたそう。その時よく用いられたのがレンガや石でした。なので、山門をレンガ造りにしたのもおそらく費用を抑えるためだったのでしょう。推測ですが、仕事のツテで安く仕入れられたんだと思います。

 

お金がなくてもアイデアと工夫で高いクオリティを実現する姿勢に素直に感動、、

ってあれ?つい最近も似たようなことを言った気が…。思い出してみたら、映画『カメラを止めるな!』の感想でした(笑)。

 

元海寺を出た後は来た道をひたすら戻ります。行きにすれ違ったおじさんと再びすれ違い、「おや、また会ったねえ」と言われました(笑)。ほのぼの。

帰りはちょうど学校の下校時間と重なり、トンネルのところでクラブ活動を終えた中学生たちと一緒になりました。あの子たちはこのトンネルが通学路なんだなあ。

車の通過音が反響して人の声などかき消されそうなのに、子どもたちは楽しそうにおしゃべりしながら帰っていました。 

 

何とか時間内に有川港に着き、間に合いそうとわかったので近くのカフェで少し休憩。

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焙煎したての豆で丁寧に淹れた本格コーヒーはカフェラテにしてもいい香り。

五島の特産品、ツバキのマークもかわいい!

 

無事に自転車を返し、まだ早い夕方だったので近所を散策してみました。

すると、神社にびっくりするものがあったのです!

 

④へ続きます。

 

おまけ

《今回は行けなかったけど、サイクリングコースにはこんな教会も!》

跡次教会

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緑の中に映える白い外壁が美しい教会。世界初の洋上石油備蓄基地を展望できる高台にあり、教会からの眺望もいい。 

 

・大曽教会

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青方湾を一望する高台に建つ。鉄川与助が設計。八角形ドーム型の鐘塔やリブ・ヴォールト天井(前回の記事参照)、色の違うレンガを使った外壁など細部まで凝った造り。県指定重要文化財

 

・丸尾教会

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丘の上の白亜の聖堂。鉄川与助が設計。信徒の大半が漁業に従事しており、船の安全を祈るかのように、教会の庭から聖母マリア像が海を見下ろす。

 

青砂ヶ浦教会

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 天主堂は内外ともに意匠が優れ、鉄川与助による初期レンガ造りキリスト教建築の代表的作品のひとつ。特にステンドグラスの美しさが有名。国指定重要文化財

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 (堂内の写真は下記より)

堂内を彩るステンドグラスの輝き | 「おらしょ-こころ旅」(長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産)

 

ため息がでそうなほどの美しさ。。。

しかも、これを造ったのは日本人という驚きと誇らしさ。

五島の教会特有のリブ・ヴォールト天井は構造計算がとても難しい建築法だそうですが、明治時代の大工の棟梁たちは宣教師から作り方を聞いて実践で知識と技術を身につけていきました。この教会を建てた鉄川与助もそのひとりです。

宮大工しかり、日本の職人技は素晴らしい。

次に上五島に行く時には必ず青砂ヶ浦教会を自分の目で見てきたいと思います。