41歳独身女のドン底日記改め、40代わたしの幸せな日常(今日のところは)

彼氏なし友達なし定職なし、でも幸せになりたかったので婚カツしてスピード婚しました!

9月、川での話。

川で、大切なブレスレットをなくしました。

 

山の中にあるその川は水がきれいで、川幅10mぐらい。水深は浅いところでくるぶし上、深いところで2m弱。鮎やヤマメなども獲れるみたいですが、周囲も川底も大きな岩がごろごろしていて足場が悪いせいか釣人はほとんどおらず、下流にキャンプ客が少しいる程度。今年たまたまこの川を見つけ、アウトドア好きの夫はそれはそれは喜びました。 

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流れが急な浅瀬から勢いよくほとばしる水は徐々に穏やかになって深くなり、次第にまた浅くなって激しさを増す。その緩急が面白く、浮き輪に腹ばいになってプチ急流滑りをしたり、大きな岩場から深みにダイブしたり。私たちは夏の間、何度もこの川で子供のように歓声をあげて遊びました。

 

そして昨日。朝食を食べていたら夫が「川に行けるのは今週あたりで最後かもしれない」と妙に思いつめた顔で言ってきました。週明け締め切りの仕事をするはずだった私は「じゃあ今から行こう」と即答し、数時間後には急流滑りで手首を岩に強打し、そのはずみでブレスレットがちぎれ、ものすごい勢いで流れる水を前になすすべがなくなったのです。

 

ブレスレットは去年、夫と知り合った夏に初めて旅行に行った帰り、記念にとおそろいで買ってくれたものでした。恋人とペアで何かを持つどころか、アクセサリー自体ほとんどつけることのない私でしたが、チェーンと細いプレートの組み合わせというシンプルなデザインとピングゴールドの上品な女性らしさが気に入り、その場でつけてから一度も外さずに過ごしていました。温泉や塩素が強いプールにそのまま入っても輝きは変わらず、常にさりげない光を添えてくれたブレスレットはある意味、大喧嘩して買ってもらった結婚指輪(その話はまたいずれ)より私にとっては思い入れのあるものでした。

 

手首からさらさらと冷たい金属が離れていく感覚は明白で、すぐ手で押さえようとしたものの水流と水圧の強さに腕を上げることさえできず。その後小一時間、周囲を探し回りましたが水中は激しく流れる水が岩にぶつかってできた無数の泡で満ち、どんなに目を凝らしても何も見えませんでした。流れの少し先は澄んだ水が昼の光にきらきら光り、川底は水面の揺らいだ影を映して目の前にあるほど近く見えるのに。絶対このへんにあるはずなのに。

 

 

また買い直せばいいからと慰めてくれた夫の言葉でようやく諦め、日暮れまで遊んで帰路へ。と、いつもなら日帰り温泉に寄って体を温めるのに、「去年ブレスレット買った店に行ってみる?」と夫。「同じものがなかったら、新しいペアブレスレット買ってもいいし。俺も半分出すから」。

必死でブレスレットを探していた私への夫なりの思いやりだったと思います。でも、わざわざ今から?和歌山の山奥からジュエリーショップまで相当距離あるよ、帰り道でもないし。あと、私の過失だから自分で買い直すのは当然だけど、即日ってなるとちょっと財布事情が…。それに、思う存分探したら気持ちの整理がついたというか、正直、形あるものはいつかなくなるわけだし。

ダークな心の声を全部押さえつけて、「いいね、行こう!」とにっこり返事する以外、私はどうすればよかったのでしょう。

 

そんな経緯で冷えた体のまま1時間以上かけて行ったジュエリーショップはコロナの影響で当面休業。どこかホッとする気持ちで「じゃあネットで似たような商品がないか探してみるよ」という私に「ブレスレットを買った時にもらった箱を見たら商品の詳細がわかるよ。帰ったら見てみよう」と優しく答える夫。

1年以上前の、特にブランド品でもないブレスレットの箱、、、ですか。。。

あった、、かなあ、、。。いや、、たぶんもうない。あったとしてもすぐには出てこない。。。

 

岩にぶつけた手首より、ずっと肌身離さずつけていたブレスレットを失ったことより、

「箱おいてあるよね、思い出の品なんだし」と曇りのない眼でまっすぐ見つめる夫の視線が痛かった夜でした。

(結局、家に帰るまでにネットの情報と記憶を総動員してブレスレットの詳細にたどり着き、箱から気をそらすことに成功しました)

(と思ったら、さっき用事で実家に行っていた夫から「箱あったよ」と連絡が。忘れてなかった!そして物持ちがいい!)