車なし女ひとり旅 長崎五島列島編⑤
上五島2日目。車なしで世界遺産を見に行くには、、、
2018年6月に世界遺産登録を果たした「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は12の資産で成り立っていて、そのうちの3つが五島列島の教会になります。
頭ヶ島天主堂以外の2つは下五島とはいえ、福江島とは別の島になるのでそれぞれ船で渡らなければならず、簡単には行けません。
アクセス的には上五島エリアにある頭ヶ島天主堂が一番容易で、しかも車なしでも市営バスで直近まで行くことができるという、願ったり叶ったりのスポット。
これは何としても行かねば!と、前日の夜、いろいろルートを考えていました。
観光案内所のお姉さんが言うには、午前中にたった1便だけ、まるで頭ヶ島天主堂を見学するためのような市バスの往復便があるとのこと。
頭ヶ島は終点なので通常はトンボ返りなのですが、その便だけは現地に30分滞在するそうで、車なしで世界遺産を見るにはこの方法しかない、ぐらいの力の入りようでした。
ただ、私としては30分の滞在時間は少し物足りないかな。せっかくならもっとゆっくり見たいし、レンタサイクル(3時間)で行くのはどうだろう。有川港から頭ヶ島天主堂までは10キロちょっとだから、往復2時間かかっても1時間は教会を見学できる。
うーん、バスと自転車、どっちにすべきか・・・と悩みながら眠りについたわけですが、
朝、雨降ってますー。はい、バス決定。
神様、迷いを断ち切ってくれてありがとう。
しかし、私は最弱の晴れ女として、晴らすことはできなくても必要な時は降らせないという特技を持っている!
案の定、朝食の頃には雨も止み、外出には何も困らずにすみました。
ちなみに朝食は大広間で食べるスタイルで、メニューも普通の旅館の朝ごはんでしたが、お味噌汁がめっぽう美味しかったです。
旅館のおばさんに「お味噌汁もう1杯飲む?」と聞かれた時は、よほど自分が物欲しそうな顔をしていたのかと思ったのですが、聞けばお味噌汁のおかわりは定番のようで、やっぱりみんな美味しいと思うみたい。ダシが違うのかな。
五島はあご(トビウオ)のダシが有名なのですが、おばさんいわく、有名になりすぎてあごはすっかり高級品になってしまい、家庭ではあまり使わなくなったとのこと。
この、観光客が増えて収益が上がるのはいいけど、それによって島の生活が変わってしまうことへの戸惑いや不安は、いろんなところでちょいちょい聞きました。
頭ヶ島もそれは同様。集落の保護と静かな環境を守るために通行車両と見学者の制限を行なっています。
そのため、頭ヶ島天主堂の見学には電話での事前予約が必要です(当日でも可)。
頭ヶ島パーク&ライドについて - くらしのガイド - 長崎県 五島列島 新上五島町公式
五島での支払いは「しまとく通貨」が超お得!!
「しまとく通貨」とは五島全域で使える電子マネーのこと。観光案内所などで登録申し込みをして購入します。
これの何がお得って、1セット5000円で6000円分のマネーが買えるんです。つまり、1000円タダでついてくるのと同じ。
宿泊施設や飲食店、おみやげ店はもちろん、バス会社の観光ツアーなどでもしまとく通貨が使えるので、申し込まない手はない!と思います。
購入は現金でもクレジットでもできて、チャージも可能。500円単位で使用できるので、たとえば1700円払う場合は1500円分しまとく通貨を使って差額200円を現金で払います。ただし、購入できるセット数は決まっているのでご注意を。(10セットまでだったかな?詳しくは専用サイトhttp://www.shimatoku.com/をご確認ください)
私もチェックアウトの際にしまとく通貨1セットを使って差額を支払い、実質1000円引きに。2セット使えばもっとお得でしたが、最初はそこまで使いこなせていなかったのと、ビビリなので1セットずつ買って足りなくなったら追加するようにしていました。
というのも、この通貨は使わずに残った分を現金化できないんです(だったはず)。
さらに有効期限は購入から2週間。だから余らないよう、使う分だけ購入することをおすすめします。
市営バスは車内も車外も楽しめる
頭ヶ島までは市営バスで片道30分。車内には上五島高校放送部の女子生徒による方言の交通安全アナウンスが流れていて、旅気分を盛り上げてくれました。
わが町、大阪でも時々巡回中のパトカーがこの手の方言アナウンスをしていますが、大音量で聞こえてくるのは、
「気いつけや!あんたのことやで!そのバッグ!」(=ひったくり防止のために、自転車の前カゴにバッグを入れる時は十分注意しましょう)
これに比べて、まだあどけなさの残る女子高生の「スピード違反は、いかんとよ~」という九州弁のかわいらしさといったら!
次に生まれ変わるなら九州の女がよかたい、としょうもないことを考えているうちにバスはぐんぐん山道を上っていき、
と思うと海岸ギリギリまで下り、
地獄のアップダウン。
自転車で来なくて本当によかったと心から思いました。
気づけば、竜馬の像が立っていたりもして、
そんなこんなで頭ヶ島に到着。あっという間の30分でした。
世界遺産、頭ヶ島天主堂を見学
頭ヶ島天主堂は、日本でも珍しい石造りの教会です。(上五島の「日本でも珍しい~」シリーズ3つ目)
鉄川与助が設計し、信者たちが付近のロクロ島から石を切り出して丘の上まで運び、1つずつ積み上げて10年の年月をかけて完成させました。
漢数字が刻まれた石がちらほらありました。「四九五」とは四尺九寸五分(約188センチ)という意味で、石の長さを表しています。積む場所を間違えないための印だったのでしょうか。信者たちが苦心しながら石を積み上げていった光景が浮かんでくるようです。
ガイドをしてくれた、この教会の信者の方によると、頭ヶ島天主堂が石造りなのも、完成まで10年かかったのも、お金がなかったからだそうです。信者がお金を出し合ってできるところまで造り、またお金を貯めて続きを造り、を繰り返して10年。その間にも厳しい弾圧を受けながらひたすら信仰を守り、教会建設を諦めなかった信者たちの覚悟と信念の強さを感じました。
窓のモチーフからもわかるように、頭ヶ島天主堂は花の装飾が多いことから別名「花の御堂」とも呼ばれています。
堂内の写真は「おらしょ こころ旅」から引用
http://oratio.jp/p_column/hanabana-soshoku
これらはてっきり五島の特産、ツバキの花なのかと思って尋ねたら、ガイドさんいわく茨なんだそう。キリストが処刑される時に茨の冠をかぶせられたことになぞらえていて、窓ガラスの装飾も茨のトゲを表しています。(頭ヶ島天主堂を紹介しているサイトのなかにははっきりツバキの花と書いているものもありました。自戒も込めて、記事を書く時はちゃんと調べよう!)
この天主堂はリブ・ヴォールト天井ではなく船の底のような形をした折り上げ天井で、石造りなので堂内に柱はなく、狭いスペースを有効的に活用していました。
教会のなかで話を聞いていたら、突如ゲリラ豪雨が!風を遮るものがないため、まともに暴風雨が直撃し、窓の周辺はまたたく間に水浸し。海のそばだから昔も嵐の時は大変だったでしょう。窓の色ガラスが強風で割れてしまってアクリルに差し替わっている箇所がかなりありました。
豪雨はバスの出発時間直前にピタリと止み、おかげで濡れることなく無事に帰れました。神様ふたたびありがとうございます。
海を望む一番いい場所にあるキリシタン墓地。
少しだけ報われたような気持ちになりました。
狛犬だらけ!有川神社
帰りにバスを途中下車して寄った有川神社では異常な数の狛犬に遭遇しました。
一対目(玉あり)
二対目(角あり)、三対目
三対目(前屈ポーズは珍しい)
四対目(筋骨隆々)、そしてなぜか牛までも
しかも各対とも見た目が全然違う!
どうしてこんなに狛犬が???と頭の中が?でいっぱいになりましたが、帰ってきて調べてみたら、ここは土地の3つの神社が合併してできた神社なのだそう。なるほど。しかし、もっと驚くべきことには、有川神社の祭神はなんと12柱もいる!
実は狛犬より神様の数のほうが断然多かったんですね。
元海寺といい、海童神社といい、有川神社といい、
上五島は教会だけでなく、寺社も要チェックです!
いよいよ、福江島へ!
旅行記②にも書いた通り、有川港からは福江島行きの船は出ていないので、1時間以上バスに揺られて奈良尾港へ。
そして、またもや私は驚きの光景を目にしたのでした・・・(煽ってばかりでスミマセン)
⑥へ続きます。。。