きのうのできごと②
<前回からの続き>
ジャイアン品川ことDさんの"イケメン振る舞い”に振り回されて、私のライフは限りなくゼロに近づいていたものの、Fさんとの約束の時間が迫っていたのでそのまま待ち合わせ場所へ。
婚活サイト⑥ Fさん(デザイナー)と会ってきた
フリーランスのデザイナー。クリエイターっぽい尖った感じは皆無。穏やかで平和なやり取りが続く(多少退屈…?)。三四郎の相田(小宮じゃない方)を、もう少し老けさせて目をやや細く垂れ目にしたような風貌。7才年上。未婚。
この写真にとても雰囲気が似てます。いいとこの坊っちゃん風といえば伝わるでしょうか。当日のFさんは相田みたいなスーツじゃなくて、青いシャツとチノパンに黄色の斜めがけバッグ。さすがデザイナーらしい、キレイな色使いでした。
一方、その日の私はいつにもましてひどい状態。
昼からずっと外にいたのと調子に乗ってけっこうお酒飲んだせいで顔は火照ってるわ、毛穴は開きっぱなしだわ、化粧直しなんて焼け石に水。いったん帰って着替えるつもりだったから、服装も首元ダルダルのTシャツをはじめ、超普段着。(そんな格好でDさんと会ったのはいいのか、という指摘は置いておいて)
もう恥ずかしすぎてまったく目を合わせられず、ごはん屋さんでとりあえずビール飲んで一息ついてから、ようやくFさんの顔をちゃんと見ました。
うん、まあプロフィール写真よりは老けてるよね。実年齢よりは若いかな。
少し気弱だけど優しいお父さんって役柄が小日向文世の次に似合いそうだな、と思いながら、また例のごとく音楽だの本だのの話をしようとしたら、いきなり
「彼氏とはいつ別れたんですか」とニコニコ穏やかなまま聞かれました。
え?
ああ、そういえば、そういうこと話す場でしたね、婚活って。
まったく忘れてました。
そこからは、5年も前の私の黒歴史をさらけ出さざるを得なくなり、、、
Fさんもまた、付き合っている人がいたのに偶然出会った同級生と2股した末にそっちに乗り換え、3年付き合ったけど結婚を迫られて別れたという、…、まあまあクズなんじゃ?という内容の話をごく穏やかに話し出し、、、。
「それは、かなり罪なことしましたね~」と軽い笑いで流そうとした私に一言、
「だって、かわいくなくなったから」。
そして相変わらず笑顔のまま、「キキさんはかわいいね」。
いや、私だってね、実り少ない年月とはいえ41ですから、ほろ酔いで発動されるこの手の戯言にも「あら、嬉しい。じゃあ結婚してくれます?」ぐらいは軽くいなせますよ、普段ならね。
だけど、誰がどう見てもかわいいわけがないドロドロの女に向かって言い放たれた言葉には完全に虚を突かれ、切り返すどころか「この人、怖っ!!」と本気で思ってしまいました。
このまま、この流れになってはヤバイ。愚にもつかない与太話でゲラゲラ笑っていた時間よ、カムバック!婚活としては間違っていようとも。
ということで、その後は必死でくだらない話をする私と、恋バナに戻そうとするFさんの攻防が繰り広げられる、不毛な展開に。
Fさんの巧妙な誘導に抗うべく、"自分は鼻毛が伸びるのが早くてよく出ているので、会話中も、つい鼻毛のことが気になってしまうのだ”、と女性としてはあるまじき捨て身の告白までしてようやくFさんを諦めさせ、鼻毛の処理として最適なのはハサミ、毛抜き、鼻毛カッターのどれだろうかという話題を勝ち取りました。
、、、私はいったい何をやってるんだろう。
決して不真面目ではなく、本気で来年の夏までに結婚したいと思ってるんですが。
Fさんの名誉のために言っておくと、恋バナといっても露骨な口説きやエロ話、ましてやタッチなどは一切なく、あくまで紳士的でした。
デザイナーだけあって、本来は私なんかよりずっと音楽やアートに詳しいし、お好きでもあるので、もう2、3軒目にはすっかりカルチャー話オンリーに。
で、あれやこれやと楽しく話して、帰り道。
サマソニでノエルは一体どんな曲をやったのかという、翌日にはすべてわかる予想に熱中している途中で、ふいに「やっぱりかわいいなあ」といたずらっぽく笑って、固まっている私を横目にFさんはさっそうとタクシーに乗り込んでいきました。
すっかりからかわれたわけですね。
アラフィフの老練さ、恐るべし。