偽善的でない優しさは、たとえばROLLYの本棚のようなものだと思う
台風の爪痕がまだ生々しいなかで起こった北海道の地震。
被害に遭われた人たちが1日も早く元の生活に戻れますように。
そして、それを目指して不眠不休で復旧作業にあたっている方々、その家族が早く安心して休息できるようになりますように。
ただ、ここからの私の意見は、不快に感じる人もいるかもしれませんが、こういう不測の事態が起こった時、善意という名のもとに自分の存在を主張するというか、ちょっとはしゃいじゃう人がいる気がするんですよね。
私に関していえば、台風の時は、普段全然交流がない他府県の知り合いから「みんな台風大丈夫だった?」とグループラインが来ました。そういう人、多かったんじゃないでしょうか。
「うちはあんまり被害ないけど、大阪すごかったらしいねー」という呼びかけに、グループのメンバーたちはそれぞれ自分の周りの被害を報告していたんですが、「へー、大変だったんだねえ。ほかにも○○くんのとこはこうで、△△ちゃんの家はこんなことになったらしいよ」と写真付きで送られてくるのを見て、「ん?」。
それ、ほんとに心配してる?なんか、興味本位で聞いてない?
いや、わかります、動機がどうあれ、情報を集めて広めるこういう行動が必要だっていうのは。
でも、何だか拭えない違和感がつきまとい、、、
安全なところから高みの見物かよ。
これは、行動そのものがどうというより、私がこの知り合いをあんまり良く思ってないのが大きいですね。セクハラと同じ。受け手側の感情の問題です。
あと、ちょうどLINEが来た時は醤油にカビ事件(前回の記事参照)の真っ最中で、心中荒れまくっていたということもあり、返事する気がまったく起きず。
みんなが被害写真見せあって盛り上がっているなかで、「うちは被害なしだったよ(私のハートはブレイクしたけどね)」と割って入るのも、何かしにくい感じだったし。
その結果、せっかく心配して連絡した or してくれたのに無視するとは何だ、という流れになるんですね、必然的に。頼んでないんだけどねー、別に。
私の個人アドレスにメッセージくれた人にはもちろん返事しました。
ちなみに、こういう災害の後は婚活サイトのメッセージが「大丈夫でしたか?」であふれかえります。好感度も高いし、聞きやすいしね。美容室でのテンプレ会話の類似品です。でも、台風はわかるけど、地震のこと聞かれても、ごめん、わからないわ。大阪在住って明記してるんだけどね。
一見優しさを装った無神経な振る舞いや、やってやってるという傲慢さは、受け手としては指摘できても、自分が同様の行動をしてしまっている可能性もあります。
やらない善よりやる偽善、はある意味正しいと思いますが、良かれと思ってしたことが相手にとっては迷惑だったというのは、できれば避けたい。
こういう時に勝手に私が心の指針としているのが、前にTVで見たROLLYの本棚です。
ROLLYって誰?って人もいるでしょう。
40代以上ならかつての「ローリー寺西」といえばわかるかもしれません。
ダウンタウンの『ごっつええ感じ』のテーマ曲を歌っていた、元すかんちのギターボーカルにして、槇原敬之のいとことしても有名な、あのROLLYです。
エキセントリックなビジュアルでもおなじみ。
デビューしてから今まで30年近く、ずっと同じスタイルを貫く姿勢に感銘を受けて、私はここ数年来ROLLYにすっかり心酔しています。
この見た目とイロモノ的な扱いで、ROLLYのことを関西弁のおもしろビジュアル系ミュージシャンと思っている人もいるかもしれませんが(私も最初はそう思っていました)、実は非常に豊富な音楽知識と高い演奏テクニック、卓越した表現センスを持つ優れたギタリストです。そして、常識的で礼儀正しいモラリストでもあります。
ROLLYのモットーは「楽屋は入った時より出る時のほうが美しく」。ね、いい人でしょう?
あんまりTVで見ることのないROLLYのギタープレイ。
10年ちょっと前、テレ東でやっていた「ROCK FUJIYAMA」という音楽番組の見せ場は、元メガデスのマーティー・フリードマンとROLLYのギターセッションでした。
「日本の歌謡曲は全部ROCKだ!」というコンセプトの企画コーナーでもきっちりプロの仕事をする2人。かっちょいい!
ROCK FUJIYAMA Rising Sun live UFO(ピンクレディー)
メインギタリストはマーティーなので、サブに徹して少しおとなしめのROLLY。あら、やだ、美形。
もし気になった人は他の回もたくさんあるので、よかったら検索してみてください。
私のおすすめはLUNA SEAの真矢がゲストの回。民謡の会津磐梯山ROCKバージョンは必聴です。
「子供の頃から内向的で小心者のいじめられっ子で、勉強もスポーツも苦手。何をやってもダメな自分が唯一できたのがギターだった。その時、ギターが俺を選んでくれたんだと思って、それ以来ギターに忠誠を尽くしている」とインタビューなどでROLLYはたびたび語っています。
メインストリームでないもの、人からバカにされがちなものに深い愛情を注ぎ、といって、みうらじゅんのように上まで引っ張り上げるのではなく、その場で一緒に座っているようなROLLYの物の考え方や接し方はメディアに発信されているものを追う限り、30年近くほとんど変わっていません。これって何でもないことのようでいて、かなりすごいことです。
ROLLYの人柄は、これを見たらよくわかります。
ちょっと長いので暇な時に。
ROLLYに興味なくてもギター好きなら楽しめるはず。
https://www.youtube.com/watch?v=9AbnG95OleY
で、ROLLYの本棚についてですが、TV番組で公開されていた自宅にはすごい量の防災グッズと備蓄品がそろっていて、本棚にきれいに整頓されて並んでいるのは本ではなく、レトルトカレーでした。
本人曰く、極度の心配性で小心者だからとのこと。それにしても、なぜこんなにたくさん必要なのか、と問われたROLLYの答えは
「あいつひとりだけいい思いをしやがってと思われたくないから、周りの人にも配るため」。
自分が幸せでいるために人にも幸せになってもらう、というこのスタンスは、やってやるという傲慢さも、人のために奉仕するという自己犠牲感もなく、ストンと腑に落ちました。
といって、うちの本棚にははみ出すほどに本が乱雑に詰め込まれていて、レトルトカレーを並べるどころか、地震が起きたら一番先に離れないといけないのではありますが。